大学の移転と賃貸経営への影響

                   大学の移転と賃貸経営への影響

私どもの営業エリアにある大学のうち、都内へ学部移転をした大学があります。

 

2023年、中央大学の法学部が八王子市東中野から文京区の茗荷谷への移転しました。この移転は、既に、大学周辺の賃貸経営に大きな影響を与える状況になってきています。

 

八王子市の東部に位置する中央大学の周辺地域では、下宿学生数の急激な減少が顕著です。この移転により、学部全体で5500名以上の学生がこの地域から離れることを意味しています。

 

これは、学部生の下宿率が35%前後であると仮定しても、地域の下宿学生数の2,000人位が居なくなることが明らかであるということです。その結果、大家さんや不動産業者にとって、大変厳しい状況が生じることになります。

 

単純に、1棟のアパートの部屋数が仮に20室とした場合、100棟分のアパート・マンションの全室が空室になってしまうということになります。つまり、このケースで言えば100人位の大家さんが影響を受けることになります。実際は、100人どころでは済まなく、数百人近くの大家さんが何らかの影響を受けているはずです。

 

既に、空き室の多い物件と、まずまず埋まっている物件の二極化が進んできています。具体的には、築年数の古いものと、築浅で設備の整っているもの、駅近くのエリアとそうでないエリアにあるものの差が顕著になっています。

 

さらに、下宿学生の減少は地域の生活環境や商業施設にも影響を与えるでしょう。地元の飲食店や商店は、学生の需要が減少することで売上が減少し、その存続に影響を受ける可能性もあります。

 

また、学生が減少すれば、地域の活気や文化そのものも変化するかもしれません。

 

大家さんや不動産業者は、このような状況に適切に対応する必要がありますが、これと言った対応策が見つからないのが現状です。新たな需要の探求や、賃貸物件の改装や再開発などの戦略を検討することは、重要なことですが手をこまねいている状態が現実です。

 

新規の賃貸住宅の建設は、このところ当然ながらあまり目にすることはありません。これからは、現在の建物のリニューアル等に努め、その質を高めることは当然ですが、少なくともレベルを落とさず維持してゆくことは今後必須事項になると思います。


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