相続した不動産を売却する場合、相続登記を経ずに売却できるかどうかについての疑問はよくあるものです。結論としては、相続登記をせずに売却することはできる場合もありますが、いくつかの制約と注意点が存在します。
相続登記を経ずに売却できるケース
相続登記は法的に必ずしも売却の前提条件ではありません。法律上、不動産の所有者が変わることを第三者に対して証明するためには登記が必要ですが、登記を行わなくてもその不動産の所有権は相続の時点で自動的に相続人に移転しています(相続人が複数人いれば全員の共有状態になっている)。そのため、理論上は相続登記をしなくても、相続人としての権利を持った状態で売却手続きに進むことができます。
売却手続きの進め方
1. 相続人全員の合意が必要
相続人が複数いる場合、全員の同意がなければ不
動産を売却することはできません。相続人全員が
署名・押印し、売却手続きに協力する必要があり
ます。
2. 売買契約の際に必要な書類
売却にあたり、売買契約を結ぶ際には通常の売却手続きに加え、以下の書類が必要となり
ます。
- 被相続人の死亡証明書(戸籍謄本や除籍謄本)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人が複数いる場合)
これらの書類により、売却しようとする不動産が相続によって所有権が移転されているこ
とを証明できます。
3. 買主が登記に協力する必要がある
相続登記を経ずに売却する場合、買主は売却契約の後に、売主側で相続登記を済ませる
か、相続登記と所有権移転登記を同時に行う形で登記を進めることになります。通常、
この場合は相続人名義への相続登記を行った上で、所有権移転登記を行う形になるた
め、手続きが少し複雑になります。
実務的な注意点
1.買主側の不安
相続登記が済んでいない物件の場合、買主としては所有権が確実に移転されるのか、登記
手続きに時間がかかるのではないかと不安を感じることがあります。こういった場合、
相続登記を済ませてから売却する方がスムーズに進むことが多いです。
2.金融機関との取引
もし買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関は相続登記が完了していない物件に対し
て融資を行わない可能性が高いです。そのため、住宅ローンを利用する買主には相続登
記を完了してからの売却が求められることがほとんどです。
結論
相続登記を経ずに不動産を売却することは理論上可能ですが、相続人全員の合意が必要であり、買主や金融機関にとって不安材料となる可能性があるため、実務的には相続登記を済ませた上で売却することが推奨されます。相続登記と所有権移転登記を同時に行う場合でも、事前に専門家(司法書士や不動産業者)に相談して手続きの流れを把握しておくとよいでしょう。
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