法定相続情報証明制度は、相続手続きの簡素化を図るため平成25年から導入された制度です。
従来、相続手続きを行う際には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人の戸籍、住民票など、多数の書類を各機関にそれぞれ毎回提出する必要がありました。
この制度を利用すると、「法定相続情報一覧図の写し」(証明書)を作成し、複数の手続き先で使えるため、煩雑な手続きが大幅に簡素化されます。
1. 法定相続情報証明制度の概要
法定相続情報一覧図の写しは、被相続人の相続人や関係性をまとめた証明書です。これを法務局に申請して作成すると、証明書が複数枚発行され、相続手続きの際に一度作成した証明書を使いまわせるようになります。
一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合致していることを登記官が確認した上で、その一覧図に認証文を付した写しを無料で交付するというものです。
これにより、各手続き先で同じ戸籍や住民票などを何度も提出する手間を省くことができます。
2. 手続きの流れ
法定相続情報証明制度を利用するための主な流れは以下の通りです。
①必要書類の準備
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人の戸籍謄本や住民票
- 相続関係を示す資料(遺言書や遺産分割協議書は
不要)
②法務局への申請
これらの書類を基に、法定相続情報一覧図を作成
し、法務局に申請します。
③法務局での確認・発行
法務局で審査が行われ、問題がなければ「法定相続情報一覧図の写し」が発行されます。
④複数枚の利用
この証明書は複数枚発行してもらうことができ、さまざまな手続き先で同じ証明書を使う
ことが可能です。
3. 利用先・活用できる場所
法定相続情報証明書は、さまざまな機関で相続に関する手続きを行う際に使用できま
す。以下が代表的な利用先です:
◎法務局
相続登記の手続きに使用されます。例えば、不動産を相続する際に、不動産の名義変更
を行う場合に利用します。従来は被相続人の戸籍や住民票が必要でしたが、これらに代
えて証明書を提出できるため、手続きがスムーズになります。
◎金融機関
預貯金の解約・名義変更の際にも利用できます。銀行や信用金庫、証券会社などで相続
手続きが発生した場合、被相続人の死亡に関する戸籍の提出が求められることが多いで
すが、証明書があればそれを省略できます。
◎税務署
相続税申告の際にも利用できます。申告書類に必要な相続関係を証明する書類として使
えます。
◎裁判所
相続放棄や限定承認の手続きにおいて、裁判所に提出する書類として利用することも可
能です。
◎証券会社・保険会社
金融商品や生命保険の相続手続きでも証明書を提出できます。
4. 証明書の有効期間
発行された「法定相続情報一覧図の写し」には有効期限はありませんが、手続き先によ
っては新しい書類を求められることがあるため、申請の際には事前に確認しておくこと
が大切です。
まとめ
法定相続情報証明制度は、相続に関連する手続きを簡素化し、複数の機関で同じ書類を使えるようにするための便利な制度です。不動産登記、金融機関の手続き、税務申告などで活用できるため、相続手続きの負担軽減に大いに役立ちます。
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